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岡町高弥
7月10日、上方落語界のシーシェパード、笑福亭福笑独演会(横浜にぎわい座)へ。 「暴れてぶつかって捕まったら謝る」、シーシェパードを見て即座に「わしのことやわ」と福笑は思ったそうだ。 もっとも、「誰も抗議してくれへん」とぼやくところが可笑しい。 この日は、弟子の笑福亭たまが切れ味鋭い高座を見せてくれた。 「この前、知り合いの親方と話しして、野球賭博、大丈夫でっか」と聞いたら 「大丈夫です。うちは絶対大丈夫です。賭けてもいいです」といわれて 「あかんわと思いました」でいきなり、場内大爆笑。 さすが、京都大卒の一番弟子である。 続いて、上方のおばちゃんを紹介するくだりで「今日だけ男ですと男便所入るおばちゃん」といってまたわかす。 「舟弁慶」をスピード感溢れる激しい展開で聞かせてくれた。 上下を切らず、勢いで乗り切る師匠譲りの落語に目を見張った。 笑福亭福笑は、桂きん枝の出馬をまくらに「大阪でネタにしたら怒られました。いわへんのも不自然でしょ」 「落語家は話すのは当然、主催者は注意するのは当然、お客さんは笑うのは当然でっせ、それをいわんのはおかしい」とはけだし名言だ。 余りにも、穏便にいこうとして逆にマグマがたまって爆発するのが今の世だ。 ならば、爆発する前に暴れてまえとする福笑の前のめりの姿勢は潔い。 「素人板場」は「お好み焼き」の作り方、「魚のさばき方」をめぐって包丁沙汰になっていく、狂気をはらんだ落語である。 些細なことがきっかけで、切れていく危なさ面白さは福笑、天下一品である 仲入り後、観客を陶然とさせる華麗な曲独楽を披露した三増紋之助も素晴らしかった。 はらはらどきどき、客席を練り歩く紋之助の勇姿に見とれることしきり。 ここで、観客はおなか一杯。 最後の「幻の財宝」は演者も観客も流してしまった。 それにしても、濃密な2時間だった。 他の落語が物足りなく思えてしまう 恐るべし、笑福亭福笑だ。
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