●2011/7/1金 両国シアターX「コメディオンザボード
「真夏の夜の哀しみ・2011」
岡町高弥
久しぶりにマルセ太郎の芝居が見たくなって、7月1日、
コメディオンザボード「真夏の夜の哀しみ・2011」作・マルセ太郎、
脚色・C・O・B工房、演出・永井寛孝に足を運ぶ。
場所はお馴染の両国シアターX。
舞台はお通夜、葬儀場である。
軽演劇の老芸人が亡くなって昔の芸人仲間が集まってきた。
評論家に内海桂子好江を彷彿とさせる音曲漫才師、講釈師に夫婦漫才師、
元コメディアンに酔っ払いの元漫才師。
そう、これはマルセ太郎による「芸人賛歌」である。
もっといえば、藝人論といってもよい。
日本はショービジネスが根付かなかった。
元コメディアン(おそらくマルセ太郎)は語る。
「ホステスが入ったキャバレーでは酒が主役で芸人は二の次、見る目を養わない」
「芸を持った芸人が何人つぶれたことか」と嘆く。
講釈師は「寄席もないのに権威にこだわる世界のバカバカしさ」を訴える。
音曲漫才師は「テレビタレント優先の寄席の香盤」に愛想を尽かす。
ならば、自分たちで協会を立ち上げようと威勢よく盛り上がったまではよかったが、
結局は芸人のエゴが出て仲間割れ、淋しいお通夜の幕は閉じる。
カーテンコールで売れない芸人たちが一堂に会して「新劇団結成」を掲げて「青い背広で」を歌いあげる。
儚い芸人たちの夢が実現したようで心が温まる。
マルセ太郎ならではの理詰めのセリフをきっちり消化した役者陣と永井寛孝の
メリハリの効いた演出が、絶妙に重なり合って見事なマルセ芝居に仕上がっていた。
今後もぜひ、マルセ芝居を続けて行ってほしい。 |