●2014/11/2.日 三越劇場「劇団若獅子/目明かし金次郎真昼の決闘」
岡町高弥
かの有名なフレッド・ジンネマン監督の映画真昼の決闘を笠原章が時代劇に翻案。
舞台を東北の村に置き換え、かつて村を支配していた兄弟が自分を捕まえた金次郎に復讐せんがため5年ぶりに帰って来るというところから幕が開く。
武士に取り立てられるため江戸に向かって出立する直前、その事を知った金次郎は村に引き返す。
クライマックスまできっちり盛り上げ、壮絶な殺陣で幕を閉じる若獅子ならではの物語に心が踊る。
金次郎(笠原章)によって村に平和が訪れたにもかかわらず、無頼の徒が帰って来るとわかったとたん、手のひらを返したように冷淡になる村人たち。
たった一人で悪と立ち向かう潔さは座頭市や子連れ狼に通じる時代劇の骨法である。
ぎりぎりまで追い詰められて最後の最後に敵を倒す、こういったカタルシスのある芝居は近年なかなかお目にかかれない。
穂積隆信の貫禄、風祭ゆきの情感、紫ともの可憐さ、そして若獅子の役者たちの確かな殺陣と演技力があってはじめて成立する出色の舞台である。
3年後の若獅子創立30年、新国劇100年が今から楽しみでならない。
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