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【2003年8月23日 二楽劇場」池袋演芸場 】

どこかで「カミキリって見たことある?」と誰かに聞いたとして
みなさんのまわりの方の反応はいかがでしょう?
浪曲より、落語より、講談より、スノボより、二目ゴム編みより、メガネクロス洗顔洗いより、
少ないに違いない。
しかも、現存する紙切り芸の方々は、私が知るかぎり、わずか4名。
先日、イリオモテヤマネコの種を絶やさないようにみんなで頑張ったら、
今度は増えすぎて、作物を荒らされて困っている農家の新聞記事を見ましたが、
カミキリは、もっともっと少ない絶滅品種。
増えすぎても危害を加えられる心配もなし。
ヘアーサロンじゃない、髪切りじゃない、紙切り芸。
カミキリムシより、たぶん認知度低い紙切り芸。
「藤娘!」「七福神!」など声をかけられるお客さんだって絶滅品種ですよ、全国的に見れば。
楽しいしゃべりを聞かせながら、ハサミを動かし、オチは切り抜かれた作品。
ほほ〜度100。
これほどわかりやすい芸なのだから、もっともっと知られてほしい。
見せてあげたい人がいる。
やりようはいくらでもあるような気がする、可能性をいっぱい秘めた芸。
昔からそう思っていたところ、二楽さんの舞台を見てますますその意を強くいたしました。
オーバーヘッドプロジェクタを使用しての、ストーリー性ある切り絵のビビッドな舞台は
ぞくぞくするものがあります。
甘酸っぱい、ほろ苦い、思い出は、光で描かれる白と黒の切り絵にぴったり。
(いや、ほんとは、ジャズにだって、ラップにだって、シャンソンにだって、合うと思う、私。キムジョンイルだって驚くと思うな。教えてと懇願されると思うな)
23日当日は満員のお客様を迎えて、“初”の独演会。
幕が上がると、座布団の上に二楽が一人。
一人口上が始まった。
ん、いつもと違うな、という雰囲気を湛え
静かなスタート。
客席から注文を取り、紙を切ることは切るのだけれど
いつものお題の代わりに「季語」をもらって
俳句を切るのだと言う。
「初雪!」
の声で、できあがったのは「初雪や ニの字ニの字の 下駄の跡」の心象風景。
白い紙が、一晩降り積もった初雪に見えてくる。
そっと、添えられた傘ふたつ。
事前に客席から寄せられた「言えなかったありがとう」を二楽が切る。
自身の「言えなかったありがとう」も切る。
父、師匠、である先代正楽を語りながら紙を切る。
あんなこと、こんなこと、思い出しながら、紙を切る。
ふと、語りがとまる。こみあげてくる感情に刃先が鈍る。
春日部訛りが、こういう場面に生きてくる。
江戸曲独楽、三増紋之助と2人で、画用紙に貼った二楽切り絵をはさんで、面白話。
あんなこと、こんなこと。
父、正楽が拳銃入りのバッグを持って帰って来た話。
家を燃やしかけた話。
ロッカーだった頃。
紋之助の独楽綱渡りの場面では、独楽の代わりに、
二楽が切った「相合い傘」「竜巻」「バレリーナ」がまわるまわる、まわって綱をするするすべる。
歓声と拍手。
最後は、もちろん、オーバーヘッドプロジェクターを使った
切り絵作品、どんどん、じゃかじゃか、見せ方のバリエーションがアップテンポでくるくる変わる。
花火があがる、
言葉が出てくる、
壁に映る切り絵と
それを額に汗して操作する二楽の、コラボ。
裏方と表方の両方を見る楽しさ。
これは、生でしか味わえない複眼的面白さ。
人の目は、押したり引いたり、ズームイン、カットアウト、自在に動く不思議なレンズ。
機械のレンズにゃできぬこと。
大きな大きな拍手がいっぱい。
聞いたら、喰始さんの演出が入ったのだとか。
がってん。
多々あった反省も、やったからこそ出てくること。
やらなきゃ、なにごとも始まらぬ。
また、やりたくなったと、頼もしい。
この日の切り絵点数、200点。
紙切りで、世界をまたにかける舞台ができると思う、きっと。
ジャパニーズ・シザーズ・ハンドの心意気、世界に羽ばたけ、
二楽劇場
世界に、二楽二楽の 下駄の跡。
座布団のまわりに散らばった切り絵の数々が
戦場を思わせる。
まさに、ハサミの戦いが終わったのだ・・・・・。
※二楽さんの了解を得て、写真を掲載しています。


Copyright (C) 2003 marishiro

 

 

 

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