07/3/27.心の師匠、粋なバンドマン植木先生
高野ガラス店主人

僕には音楽上の心の師匠が沢山います。
その中のひとつがクレージーキャッツ、
というよりは植木等先生です。

僕の中の植木先生はミュージシャン。
歌がべらぼうに上手く、
しかも天下の美声で、
歌詞をきちんと伝え、
七変化の表情を聞かせます。

笑いながら歌う、
泣きながら歌う、
怒りながら歌う、
喜怒哀楽を歌声に乗せることができます。

地の声とは全く別の、
「歌う声」をちゃんと持っている。
そのプロの声を大切にしています。

これがいったんギターを抱えると、
ギタリストの顔になります。
背筋がピンと伸びて、
コードを押さえる手が、
ちゃんとリズムを取って揺れるのです。

クレージーキャッツには、
笑いの前に音楽があります。
それも高度な技術とセンスがあります。
五線譜の周りにギャグが書いてあった、
そんな話も聞いたことがあります。
リズム感溢れる笑いは、
音楽にどっぷり浸かって生まれたんですわ。

音楽で笑わせようとしたら、
その音楽がちゃんとしてなきゃダメでしょ?
普通のジャズミュージシャンから、
笑いへ移行するには、
きっとみんな葛藤があったと思います。
だからこそ、
音楽として聞けるレベルのものが出来たんです。

いくらみんなに笑われても、
ミュージシャンとしての自負がベースにある。
俳優をしても何をしても、
バンドマンの心が灯っている。
そこが素晴らしいんです。

僕の中では、
植木先生は俳優でもコメディアンでもなく、
ミュージシャン。
もしかしたらバンドマンというべきでしょうかね。

紳士で二枚目で、
真面目に「いい加減な男」に取り組む人、
そしてバンドマン。

カッコイイ師匠です。

 


 

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