05/07/18 銀座博品館劇場大銀座落語祭
「熱海殺人事件」午後1時からの部
にしき
お芝居はあまり見たことがないので、落語ファンが「喬太郎さんが演る」というので見に行った感想、ってことでご了解下さいませ。
「熱海殺人事件」のストーリーはおぼろげながら存じておりましたが、舞台では一度も見たことはありません。
ですから以前のものと比べることは出来ないのですが、そんな中でも特徴的だったのは、喬太郎さん演じるところの伝兵衛が、着物だったってことじゃないでしょうか。
幕が上がりそこに現れた伝兵衛は、茶羽織を着て、いつもの高座の喬太郎さんそのままでありました。
一瞬笑いが起きたものの、セリフが始まれば、もうなんだか喬太郎ワールド。
いつもと違うのは、ずっと一人の人物のまま、ということですが、伝兵衛の、熊田刑事や犯人大山に対する暴力的でめちゃくちゃな論理も、狂気も、愛人に対する理不尽さも優しさも漫画チックないやらしさも、マイクを持って歌う姿さえも、すべて今まで、喬太郎さんの落語の中に登場していた気がします。
それに、この話、喬太郎さん、落語で出来ちゃうんじゃないかしら。
それくらい、喬太郎さんのどんなセリフも表情も、落語のときとのギャップは感じられず、登場人物もまた、喬太郎さんの落語に出てきておかしくない人たちに思えました。
大山の回想シーンを、いきなり机の上に正座して、落語のようにやり、ここぞという盛り上がるところで、羽織を脱ぎ、浜辺で語らう大山とアイちゃんをからかう男に扮するときには尻っ端折りをし、着物であること、落語家であることをフル活用。
やっぱり台本が喬太郎バージョンになっていたんでしょうか。
最後は、伝兵衛と愛人である水野婦人警官、熊田刑事と富山に残してきた女性、犯人大山と殺されたアイちゃん、三組の男女の切ない物語が一気に押し寄せ、カーテンコールのほのぼのとした会話を飛び越えて、明るい銀座の街に出てもなお余韻が残っておりました。
お芝居側の方、そちらから見ると、どんなふうに見えたのでしょう。
ぜひぜひ教えてくださいませ。
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