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2005/06/25 大阪中井神社
「第56回中井神社 笑福亭松喬落語会」
ぞ
せっかく大阪に来たし…ぐらいな軽〜い気持ちで行ったのに、想像以上のステキな想い出になりました。
夕暮れ時、地図を見ながらたどりついたのは針中野の中井神社。
境内の灯籠に貞観4年の年号。
世間の凶変前に鳴動するといわれる樹齢1500年を越えるご神木・榎木もあって、いわれのある神社のよう。
けっして大きくないけれど趣のある境内の一角に、「松喬一門」提灯のやわらかいあかりが灯り、中を覗くと右喬さんと喬楽さんが笑顔でお
出迎え。
「次の案内をお送りするので、住所を…」とノートを差し出されましたが、
「…あ、東京から来ているので…」と言うと、右喬さん「わざわざこのために!」とのお答え。
すかさず喬楽さんが「んなわけないやん。親戚の方かなんかがいらっしゃるんでしょ?」とつっこみ。
何気ないけど息がぴったりとあったやり取り。
入り口からすでに始まっています。
さて、50人も入ればいっぱいかという会場の座布団に座れば、とぼけた感じがかわいらしい右喬さんによる「花色木綿」で落語会開始。
ときどき言葉をかんじゃうのもご愛敬の喬楽さん「ん廻し」、ほのかに色っぽい幽霊、生喬さんの「応挙の幽霊」と続きます。
お待ちかねの松喬さん登場、枕で毎年一門で旅行に行くんですという話。
弟子たちが買い物で値切るのが下手、タイでの酒席できれいなお姉さんが横についたのに、男の人だった!というお話など…で、場内爆笑。
お弟子さんを見てきたところなので、なお、おかしい。(ちなみに今年はこの落語会の次の週、北京へ行ったそうです)。
そして流れるように「親子酒」に。
あっちふらふら、こっちふらふら…酔っぱらっちゃってご機嫌のお父さん、わざとらしさが微塵もなく絶品です。
ここで仲入。
お弟子さんが上方落語協会の小冊子を売りにやってきます。
あるお客さんお金を渡しながら、「親子酒」で酔っぱらいお父さんがうどん屋に小銭を渡しながら言うせりふ「今度家建てる時の足しにしなさい」をさらりと使っていました。
最後は松喬さんの「崇徳院」。
熊さんのいい加減(イイ加減とも言う)さが、きめ細かく演じられます。
松喬さんが描くおかみさんは、妙に色っぽい。
爆発的なおかしさというよりは、じわじわと底からきいてくるおかしみ。
お腹の中がほっこりとあたたかくなるような心地。
緑を抜けてきた風が入る会場で、心からリラックスして聴けた贅沢な落語会。
旅先で、一人だけよそ者というのも不思議と、なんだかいい感じ。
まるで、松喬さんが操る船にのって、川風に吹かれてぐるりと遊んできたような、そんな気持ちの良い夕べでした。
★ちなみにここでの松喬一門落語会は毎年、1月、6月、11月にあるそうです。
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